月章学�U　月章相と呼力　　　　　　　　　　　　　　　　＊戻る

　　　【月章の呼力】

・月章は８個あるが、それぞれが同じ月の別の姿を現したものであるため、お互いが干渉し、影響を与え合うとされる。一つの月章がある月章を「呼ぶ」または「惹きつける」力を呼力という。月章はそれ自体「一つの状態」でしかなく、常に白面（良い面）と黒面（悪い面）を併せ持つ不安定なものである。それらの足りない部分を、いわば「補おう」とする力が働き、このような現象が起きるのだという。図は、矢印の方向に月章が「惹かれる」もしくは「呼ばれる」とする相関図。個の月相であるファン（満月）〜ディ（新月）と、連の月相であるマナ（離月）〜二重月（モーム）の間に干渉力はなく、サイクルは「個」と「連」の中で閉じている。これらの力は、具体的には一つの運命（月相）が、次にどのような運命に向かうか、という方向性や、ある種族がどの種族に近接しようとするか、といった指向性として現れるという。

　　　【月章相】

・月章は、それぞれを二つずつの組み合わせにすると、ひとつの「場」を形成する。この組み合わせを「月章相」と呼ぶ。相には８種類あり、ムアナの伝承する「月章神器」の組み合わせによって、それぞれの時代の相、つまり時代の有り様が決定されるという。このような月章相と、月章神器の知識は秘伝に属し、ウォノの高官と、ムアナ成体で構成される「元老院」しか詳しい事は知らない。それ程の大事であり、世界の行く末を決定する重要な概念なのである。

下図の一覧は、月章を端的に、このように読んで見ていただきたい。

〔ファン（満月）…経済　メア（半月）…外交　エア（三日月）…大事件　ディ（新月）…社会的変動　モーム（二重月）…家族　メトア（融月）…恋愛　ミア（接月）…戦争　マナ（離月）…社会活動〕

・それぞれの相の名前が、テュアン住民同士、もしくは月神と住民達の力関係を表す。例えば「兄弟相」なら、良い意味でも悪い意味でもお互いを「兄弟のように」扱う社会、となっていく訳である。「兄弟相の時代、社会」ならば、それは“兄弟のように仲の良い社会”という正の意味と、“兄弟のように張り合い、もしくは馴れ合う社会”という負の意味を両方合わせ持つ。その時代の社会の一つの側面がどのようになるかは、その側面を表す月章が、どの月章と組になっているかで推し量ることが出来る。例えば兄弟相の時代の「金運＝経済」がどのようであるか、といえば、経済を表すファンが組になっているのは半月のメアであり、メアが象徴するのは友好と惰性であるから、可もなく不可もなく、安定した経済状態―という風に読む事が出来る。

・上記の４組の相は、比較的安定した社会であるとされる。下記の４組の場合、友人相は非常に良い社会、絶対相は不安な社会で、中でも最も危機的な状態になるのは「絶対相・乱」の時代であるとされる。そして、物語の時代はこの「乱の相の時代」―三日月エアの月章神器「エア・ピュイリ」を持つ、伝承者のジャスが、配偶者として二重月モームの神器、「モーム・キルク」を持つアーシェを選んだ時代、である。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　→月章神器と伝承者

　　　【月章の危険度】

・何度も言うように、月章は決して「守護だけしてくれる安全なもの」ではない。その力はマイナスや不足の面を持ち、（月の影、と呼ばれる）常に他の月章の影響を受け、不安定に揺れ動いている。しかし、月章の安定性もそれぞれに差があり、濫用しても比較的安定した月章と、不安定なため濫用すると大被害をもたらす月章がある。

・「方向を変え安定」とは、大変化の後、別の傾向に落ち着いて安定する、という意味である。つまり普段安定した月章はファンとマナ（満月と離月）、大きな変動を呼ぶが、後安定する月章はディとモーム（新月と二重月）、そして、エアとメトア（三日月と融月）が最も不安定で、危険な月章、という事になる。主人公のジャスが持つのはこの三日月の神器であり、彼がムアナの首長となって戦いを起こす物語の時代は、テュアン史上最も不安定で、荒れた時代、だという事になる。

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