多賀川人盛（タカガワ・ヒトシゲ）

矢永障吾（ヤナガ・ショウゴ）

リィ

ショウマ

・主人公。第３次森林入植者。地道でしっかりしている反面、口が悪くて超絶に短気。でも根はお人好しだ。森林町「片隅町地区」の主要戦闘員となる。

・タカガワの相棒。同期の入植者。つかみ所のない、飄然とした奴。長所は逃げ足の早さ。短所はいい加減さと放浪癖。スタン乗員。

・単為体の少女。明朗快活。タカガワに人類の知識を教えられた事から、彼を「プロフェッサー」と呼んで慕うようになる。動物の動きや心情を読み取る能力に長ける。スタン乗員。

 ・単為体の少女。リィの姉妹的存在。リィと違い、内気で消極的。しかし、メカニックの動きを読み取る能力に長けているため、後にスタン乗員となる。

金木三善（カネギ・ミヨシ）

飯綱轟（イズナ・ゴウ）

道玄坂夏美（ドウゲンザカ・ナツミ）

虎馬

・「飲み会Ｄ」と呼ばれる青空学園の責任者。教員免許を持つ。戦いではタカガワ達Ｄのメンバーを率いて指揮官となる。頼りになるいい男。

・森林部隊少尉。片隅町地区の警備担当者。後には民兵組織を率い、地位も昇格していく。都市管理局の陰謀を、それとなく探っているふしがある。

・タカガワの幼なじみ。都市に残り、管理局の生命研究部門に入った事から、単為体、ひいてはタカガワと再び関わる事になる。紛れもない美女だが自覚がなく、性格は真面目一本槍。

・森林に出没する、謎の生物。その姿は単為体には見えるが、通常、人類には知覚できない。それでも人類が虎馬を見るのは、虎馬の側で「望んだ」場合だけであるという。リィによると、森林で戦争が起きるのは虎馬が原因らしいのだが…

その他の人々

江倉武二（エグラ・タケジ）

汐止道向（シオドメ・ミチムカ）

小野徳一（オノ・トクイチ）

村上元康（ムラカミ・モトヤス）

マレイ

金木奈美（カネギ・ナビ）　金木美僚（カネギ・ミレウ）

・飲み会Ｄのメンバー。スタン乗員。口やかましい男。

・飲み会Ｄのメンバー。スタン乗員。ボーッとしたタイプ。

・飯綱の腹心。中隊長。管理局のやり方に危惧を抱いている。

・スタン開発技術者。管理局が、裏で単為体の生体実験に手を染めていることを知りながら協力している。研究のために良心を捨てた男。

・リィたちの所属する単為体集団のリーダー。人類には強い不信感を持っている。

・双方カネギ氏の妻。森では出産率が低く、また女性の労働が過酷に過ぎるため、複数人の妻帯が認められている。

この時代の社会と人間

・時代と言っても、過去とも未来とも付かない。バイオ植物の暴走で、地球上の大半の地域が森林と化しているのみならず、温暖化のため気候はどこもかしこも亜熱帯。舞台は「日本」らしいが、見慣れた風景はもはや存在せず、森と、点在する「都市」、森に住んでうろつく人間、そして木々を飛び回る猿や小動物の群れがいるのみである。森を再び開拓し、人間の手に取り戻そうとする試みは日夜行われているが、頑強に繁茂した森の生命力に阻まれ、遅々として進まない。都市に住む人種と、森に入った人間とは、タテマエ上は「平等」であり「公平」であるが、実体としては「都市市民がエリート」「入植者はアウトサイダー」という認識になっている。

　ところで、森には入植部落以外「家屋」が存在しないわけではない。元は普通の町であった場所が森になっている訳だから、各所に「旧時代」のビルや、道路などの痕跡がある。その分、誰かがそこに潜伏しているとしても、探し出す事は大変に困難。

都市に住む者

【一般市民】

　この時代の人間の大半は、どうにか森を排斥した「都市圏」に住む一般市民である。「都市」の中は通常の町で、特に「森」を意識する世界ではない。あえて言えば世界的に物資が不足しているため、生活はややつつましく不景気。

【都市管理局】

　いわゆる「都市圏のエリート」。政府直結で、「森林問題」の解決と対処に当たっている。その部門は入植者管理から、バイオ植物や単為体に対処するための生命化学までと幅広い。

森に住む者

【入植者】

　政府の正式な森林入植政策に基づき、森に入った者。タカガワたち主人公はこれに当たる。彼らは森林各地に点在する「入植部落」に落ち着き、開墾の日々を送る。と言っても「畑」の作れる場所はわずかなので、その生活の実体は半農半猟、そして森林間の怪しげな「闇市」商売に明け暮れる。実際、どこをどう巡って来るのか、思いもかけない物品が森林間には多数流れており、値段が不当な事を除けば、都市よりも商品のレパートリーは格段に豊富なくらいだ。ただその分、手を出すと大きなリスクを背負う事も。森林入植者は体力、そして生き残る知恵を要求される。

　ちなみに教育制度は、森林ではほぼ崩壊しており、都市圏で一定期間の講習を受ければ誰でも教師になれ、許可をもらえば勝手に学校を作る事もできる。タカガワの所属する「飲み会Ｄ」はこのたぐい。年齢制限はなく、中学とも高校とも大学ともつかない。ともあれ、「都市の政策」を否定するような事さえしなければ、あまり多くは問われないようである。

【森林部隊】

　この時代の正式な「軍隊」だが、タテマエとしては「森林入植者の生活防衛」に従事する、いわばガードマンだ。内乱がなければ、「開墾のサポート」「危険鳥獣類の駆除」「スタンなどを使用した、大きな犯罪の抑制と鎮圧」などが主な使命。だが、その武装力と統率力はかなり高く、とてもその為だけに存在する部隊とは考えられない。部隊の大半は常に森林内に駐留しており、ある意味では入植者の生活共同体となっている。

【単為体】

　リィを始めとする、森に住む野生民。多くはグループを作り、「旧時代」の家屋や、森林内のキャンプなどで暮らしている。森には旧時代の「遺産」が多数埋まっており、「市民生活」を支える程の物資はないが、単為体たちがささやかな生活を賄う事は可能らしい。しかし当然、それだけで全てが足りる訳ではなく、彼女らの多くは闇市、森林部隊、もしくは一部の入植者とつながりを持って生活しているようだ。その「つながり」とは何かというと…　謎というか、禁句になっている。怪しげな関係からカッパライまで。

　「単為体」「別種」とされているが、彼女らはれっきとした人類であり、元は森に取り残された人々が、森林に適応進化した姿だ、とされている。いわば政府の都市政策に漏れた、気の毒な人々の末裔なのだが、その生命力と、森への適応力、戦闘力の高さなどは、とても人類の及ぶ所ではなく、うかうかしていると人類自体が足下をすくわれかねない。

【森林シャーマン】

　謎の存在。おおっぴらに交流を持つ入植者はほとんど居らず、その実体はようとして知れない。都市とも、入植者とも、単為体とすら関わりを持たず、独立したグループを作り、森の中で仙人のように暮らしているという。たまに「予言者」のような形で出没することもあるらしい。

【テロリスト】

　タカガワ達の主な敵。その目的は、森に政府から独立した国家をうち立てる事らしい。全ての層の敵に回っており、本来なら「活動」出来る程の財力も武力もない筈なのだが、彼らはどういうわけか大量のスタンを乗り回し、戦闘ヘリを駆使して戦いを挑んでくる。そのバックに支援者と、潤沢な資金源がある事は明白。だが、「誰がテロリストを支えているのか」という話になると…　誰もが首を横に振るのだった。果たして彼らの真実の姿と目的は？　そして、タカガワたちの「真の敵」は一体誰なのか？